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顔を上げたシャルロットはリオンに一歩近付く。
「貴方はわたくしのガラスの君。みんなに認めさせて、誰にも文句なんて言えないようにしてみせるから」
「そのためには、やはりガラスの靴ですね」
「そうね。どこかの貴族がどこの誰なのか……。戻ったら一旦分かったことを整理して考えましょ」
今後の動きを軽く確認しつつ、各々席に着いて食事を始める。ヴォルフガングが用意してくれたルージュ・ヴァルフォレトの朝食はリオンにとっても珍しいもので、朝食についてもレシピを訊ねることとなった。
朝食を終えると、一同はヴォルフガングに別れと感謝を告げて帰路に着いた。
「異国の料理も面白いわね。ねえリオン、狼さんに作り方を聞いたんだったら今度ごちそうしてくれないかしら」
「いいですよ。腕によりをかけて心を込めて作りましょう」
「楽しみ!」
リオンとシャルロットは馬上で話に花を咲かせる。
そんな二人を見て、白馬の引き綱を引いていたアンブロワーズは満足げな笑みを零す。穏やかな微笑だったが、リオンに声をかけられて一瞬で口角が吊り上がった。シトルイユが呆れた様子でその変化を眺めていた。
木陰から王女を見守る使用人達を引き連れながら、黒と白の二頭の馬が王都パンデュールに向かって深い森の中を歩いて行く。
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