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「オレ? オレは坊ちゃんの味方だよ。もちろん旦那様は大切なご主人様だけど、オレは坊ちゃんの従者だから」
揺れる馬車の中、ドミニクの従者であるクロードは言う。ジャンドロン家の執事の子であるクロードは幼い頃よりドミニクに仕えている従者で親友で相棒であり、共にモーントル学園に通う級友でもある。
ドミニクは本を弄ぶ。
「僕はきみを信じている。……いつも仲間はずれにしてごめんね。もしものことがあったら困るし」
「いいんだ、オレは難しいことはよく分からないし。まぁ、坊ちゃんが何かよくないことをしようとしてるんだったら止めるけど。でもそうじゃないでしょ? それならオレは黙って応援するだけだから」
「ありがとう、クロード」
父の秘策とは何なのだろう。ドミニクは侯爵の勝ちを確信した笑い声を思い出す。とびきりの切り札があるのだ。
今日の夕食は何でしょうね、と言うクロードの声を聞き流しながら、ドミニクはぼんやりと車窓を眺めていた。
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