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「告白してくれたのは、部活の後輩なんだけど、後輩としてしか見れなくて。それに――」 それに? 私は「うん」と相槌を打つ。 後輩としてしか見れないという陽太くんの言葉にちょっぴり安心したのか、緊張が少しほぐれて、余裕をもって返事ができた。 「俺、好きな子いるし」 「へっ!?」 余裕ができたと思ったのに、カウンターを決められたみたいだった。 思いがけず飛び出した、陽太くんのカミングアウトに動揺が隠せない。 「そ、そうなんだ!」 そっかー。好きな子いるんだ。 気になりすぎる。 「クラスの子?私の知ってる子?」 動揺しているのを隠して、全然気にしてない素振りで聞く。 この質問をしている時点で、気にしているのバレバレだと思うけどね。 「うん、クラスの子。知ってるんじゃない?」 陽太くんがそう答えたところで、同じ学校の子がたくさん乗って来る停留所にバスが停まった。 その瞬間、陽太くんがカバンからノートを取り出し、パッと私の前で開いた。 何だろう?と不思議に思っていると、バスに乗り込んで来た男子数名が 「あれ、陽太、女子と一緒?」 「えー、彼女?できたんなら教えてよ」 と口々に陽太くんに話しかける。 陽太くんは少し顔を赤くして、 「違う!テスト勉強、してただけだからっ」 早口で答えた。 テスト勉強?私は、チラと陽太くんを見る。 「話、合わせて」 彼が小声で言った。私は、こくこくと大きく頷いて「勉強、教えてくれてありがとう」と少し大きな声で言った。 あれ、棒読みになったような?おかしいな、心を込めて言ったのに。 「ふーん?」 納得していないような返事を残し、陽太くんの友人数名は、バスの一番後ろの座席へ歩いて行った。 その後も、陽太くんとは、ノートを広げたまま会話を続けた。 「いつも、教室で避けてるの、あぁやってからかわれるのが…苦手だからなんだ。ごめんね?」
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