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*3*
4つ目のあめあめ坊主を処分した日の6限目の最中。
それは突然起きた。
雷が鳴りだしたかと思うと、バケツをひっくり返したみたいな大雨が地面に降り注ぐ。
「きゃあっ」
ピカッと光る稲妻に、クラスの女子が悲鳴を上げた。
蒸し暑い中、雨が降りこまないように窓が閉められ、教室内は一気に温度が上がる。
汗ばむ暑さに、湿度も上がってジメジメとした嫌な暑さが這い上がって来る。
授業に身が入らず、先生が職員室に戻って冷房をつけてくれた。
涼しさはすぐには室内にいきわたらず、皆ノートやルーズリーフで顔を煽ぎながら授業を聞いていた。
授業が終わる頃には、土砂降りの雨は激しさを増していて、運動場には大きな水たまりが数か所できている。
あめあめ坊主がやっと願いを聞いてくれたのかな、と嬉しく思う反面、朝は自転車で来たであろう陽太くんが、バスで帰るのか自信がなく不安にも思った。
掃除を終え、ホームルームが終わった後、自転車で通学してきたクラスメイトは教室で雨宿りをしていた。
バス通学勢も、傘を持っていない人たちは雨が収まるのを待つようで教室にいた。
「三条くんは、雨が止むのを待つらしいよ」
ゆっこはそう言って、私を教室の外に連れ出す。
「待ってても、一緒には帰れないと思うよ」
折り畳み傘を持っているというゆっこに、一緒にバス停まで行こうと誘われ、後ろ髪を引かれる思いで昇降口へ向かった。
せっかく雨は降ったけれど、陽太くんと一緒に帰ると言う願いは叶わなかった。
次は、朝から雨が降るようにお願いしなくちゃ。
そう思いながら、バスで帰宅する。
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