side修一

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side修一

 自分が同性を好きかもしれないと思ったのは、友人に勧められて見たエロ動画に何の興奮も得られず、女の人を抱きたいと全く思わなかったからだ。  一応女の子とつきあってみたりした。  その時にセックスをしたけれど、まったく気持ちよくなくてすぐに別れた。  俺の初恋相手は1番仲のいい友達だった。  その人の事を考えると抜ける自分がいた。  卒業式の日に思い切って伝えた。  それが間違いだった。  ありえない、気持ち悪いと罵られた。  まさかそんなに拒絶されるなんて思わなかった俺は、二度と顔を見せるなと言われてトラウマになった。    俺にトラウマを与えたその男が、今目の前を男と腕を組みながら過ぎ去っていった。  誰がどう見ても恋人に見える二人。  その光景が目に焼き付いて離れない。  気持ち悪いって罵られたのは何だったんだろう  自分の人格を全否定された気分だったんだぞ。  あれ以来こっちは人を好きになれなくなったのに。  これはちょっと応えるな。  気晴らしになる男いないかな。  嫌なことがあるとすぐに男を漁る癖、いい加減やめないといけないと思いつつやめられない。  後腐れない体だけの関係は気楽でいい。  とりあえず飲みながら考えようかな。  目についたバーの扉を開ける。  カウンターにはひとりふたり。  テーブル席はほぼ埋まっている。  1番端の席に座り、注文する。  少し離れた席に座っている若い男の子が店員と話している。  聞くつもりはなかったが、気になって耳を傾ける。  どうやら振られたらしい。  横顔を盗み見る。  整った顔立ちをしていると伺える。  モテるんだろうな。  出されたカクテルを飲みながらなおも聞き耳を立てる。  聞こえてくるからさ、不可抗力。  店員にキャンキャン吠えてる。  ちょっとおもしろくて笑えてくる。 「どこかに俺を癒やしてくれるエロい人いないかなー」  その言葉を聞いた瞬間体が動いて思わず声を掛けていた。  自分の行動に自分で驚く。  振り向いた彼は、アルコールのせいなのか、それとも振られた話をしていたせいなのか、瞳が潤んでいた。  それが妙に俺を惹きつけた。 「じゃあ、お願いしようかな?  章ー、帰るわ」  あっという間に店を出てホテルに向かう。  あぁ、めちゃくちゃ抱きたい。  部屋に入るなり強引に唇を奪った。  何度も何度も激しくしていると彼の目が次第にトロンとし始める。  チャックを下ろして感触を確かめる。  うん、良好。  先にシャワーを浴びてもらった。  めちゃくちゃ虐めてやろうかと思ったけど、ドロドロに甘やかしてあげるのも悪くない。  どうしたものか思案していると、彼が戻ってきた。  俺も浴びることにした。  さて、どうしようかな。  ワクワクしている自分に苦笑しながら、部屋に戻ると 「おまたせ……あれ寝てる?」  ベッドに腰を下ろして寝顔を見つめる。  かわいい顔をしてる。  いやいや、でも寝られたら困る。  もう君を抱く体勢は整ってるんだよね。  さて、どうやって起こそうか。  せっかくだから、彼のものを頂こうか。  ゴソゴソとバスローブを捲くってお目当てのものを露出させる。  おいしそう。  いただきます。  ペロリと裏すじを舐める。  そのまましばらく舐め回して、口に含む。  ちょっと反応してるかな?  構わずに出し入れしていると、さすがに目が覚めたようだ。  驚いている顔がまたかわいい。  そのまま一気に射精に持っていく。  ビクビクと震えて液体が溢れ出た。  それを飲み込む。  普段は飲まないけど、今はなぜだか気分がいいから気にならない。  キスをして乳首を舐める。  めちゃめちゃ感度良さそう。  ゆっくりじっくり彼の孔を解してやる。  ここで焦りは禁物。  気持よくなってもらったら俺も気持ちよくなれる。  そろそろかなーと思っていると案の定挿れてほしいと強請られる。  足を開いてゆっくりねじこむ。  あー、暖かくて気持ちいい。  様子を見ながら少しずつ動いていく。 「イグ……ィグ……アッ――」  その言葉を合図に奥まで激しく突く。  夢中で腰を振り続ける。  気持ち良すぎておかしくなりそう。  実際にこのときの俺はおかしかったのかもしれない。  善がるこの子がとてもかわいくてもっともっと鳴かせたくなって俺の欲望は尽きることがなかった。  幾度となくイッた後に彼は気を失ってしまった。  初めての事に狼狽えてしまう。  息はしている?  大丈夫。  周りに散乱しているゴムとティッシュの山にぎょっとした。  俺何回やったの……?  精液まみれの彼の体を丁寧に拭って布団をかけてあげて、乱れた髪にそっと触れる。 「ん……」  はっとして慌てて手を引っ込め、散らばった情事の残骸を片付けていく。  軽くシャワーを浴びると心地よい疲労感が襲ってきて、彼の隣に横たわりそのまま目を閉じた。 
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