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目が覚めて、隣を見る。
規則正しい寝息を立てて眠っている彼がいる。
かわいい。
しばらく見つめていると彼が目を覚ました。
やり過ぎた事を謝る。
彼は最後の方記憶が飛んでいると言った。
彼の頬に手を伸ばす。
可愛かったと伝えるとみるみる彼の顔が赤くなっていく。
何その反応、かわい過ぎるでしょ。
逃したくなくてセフレになろうと提案した。
彼はあっさり受け入れてくれた。
よかった。
また彼を抱く事ができる。
今になって思うと、きっと最初から俺はこの子に囚われていた。
修さん、怜央くんという呼び方はいつしか修と怜央に変わり、ホテルでしていたセックスはお互いの家でするようになった。
飽きることなく俺は怜央との関係に溺れていった。
怜央なら話しても大丈夫かもしれないと思って緊張しながら俺ゲイなんだと打ち明けると、気持ち悪がることなく今更何言ってんの?と軽く笑い飛ばすから、とても気持ちが軽くなったのを覚えている。
玲央には必要ないのに甘いものが好きな俺のためにいろいろと用意してくれたり、ここのスイーツ美味しいらしいよとかこれ好きだっただろ?とか自分の好きなものを覚えてくれていたり……さりげない優しさが嬉しかった。
そんな彼にどんどん惹かれていった。
ありのままの自分をさらけ出せる。
怜央の隣は居心地がよかった。
その反面、どんどん深みにはまって抜け出せなくなる恐怖が付き纏った。
怜央に好きな人ができたと言われたらどうする?
手放すことができるのか?
好きだから、傷つくのが怖い。
それならいっそのこと……。
俺には血の繋がらない兄がいる。
再婚同士の連れ子というやつだ。
兄とは険悪になることなく、とても仲がいい。
弟がほしかったという兄はとても可愛がってくれて、今では溺愛されていると思っている。
ゲイだと知っても特に何も変わらない。
高校の時の事も知っている。
怒り狂う兄を見て冷静になれた自分がいたから兄には感謝している。
周りにゲイだということを隠している俺は、常に気を遣って人と接しているから友人と呼べる人がいない。
だから兄だけにいろいろ話す。
当然怜央との事も相談した。
偶然俺たちを見かけた兄はいい感じじゃんと言ってくれた。
兄に気持ちを伝えてはどうかと言われたけれど、怖くてできない。
玲央から言われる前に関係を解消しようと思うと話すとお前はきっと後悔すると叱られた。
怜央に関係を解消したいと伝えた。
あっさりと受け入れられて、もしかしたら嫌だと言ってもらえるかもしれない、そんな俺の淡い期待は木っ端微塵に打ち砕かれた。
玲央にとって俺はただのセフレなんだ。
分かっていたけどショックで気持ちが沈んでいく。
隣で眠りたいという気持ちを押し殺して怜央の家を出た。
このまま怜央なしで俺はやっていけるのだろうか。
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