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「――ん……?」
「おはよう
ごめんね、ちょっとやり過ぎちゃった」
昨日は今までに経験したことがないくらい最高の夜だった。
覚醒し始める頭の中で昨日のことが思い出される。
「おはようございます
すみません、最後の方記憶が飛んでて」
彼の手が俺の頰をするりと撫でる。
「可愛かった」
思わず赤面してしまう。
そんなこと言われたの初めてだ。
「いや、かわいいって……」
「シャワー浴びる?
一応体拭いたんだけど」
確かにあれだけ出したのにも関わらず、ベタベタ感はない。
後処理までさせてしまって申し訳無さで居た堪れなくなる。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
ガクン……
「!?」
立ち上がろうとするが腰がぬけてしまってうまくいかない。
なんだこれ、どうなってんの?
「やっぱり無理させすぎたね
もう少し休んでて」
「はい……」
心地よいだるさに包まれて、しばらく俺は起き上がることなく寝そべっていた。
そんな俺をじっと見つめて彼は言った。
「ねぇ、セフレになってくれない?
体の相性いいと思うんだ」
願ってもないことだ。
あの体験をもう一度と言わず何度もできるならこっちからお願いしたい。
「いいですよ
今更だけど、名前は?」
「修一
好きに呼んでくれていいよ
君は怜央くんだよね?」
「はい
じゃあ修さんで」
「よろしくね、怜央くん」
最初はホテルで会っていたけれど、ホテル代をいつも出してもらって申し訳ないなという気持ちで家に招いた。
家ならいつでもできるからいいよなと冗談のつもりで言ったのにめちゃめちゃ来るようになった。
修の家にも行くようになって、時間が合えばご飯を食べてセックスした。
それが当たり前になっていた。
修は見かけによらず甘党で、謎のキャラクターグッズを集めるようなかわいい一面を持っていた。
セフレだから別によく思われようとしなくていいし、素の自分を出せて楽な相手だった。
そうして出会って1年。
好きな人ができたらやめるという条件だった。
「修の好きな人ってどんな人なんだろう……」
なぜだか無性に気になる。
考えながら歩いていたらあっという間に家に到着していた。
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