side怜央

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 きちんと大学の授業を受けて、バイトもこなす。  それを繰り返す。  そうして日々は過ぎていく。  修への気持ちなんていつかなくなる。  いつか……。  ブブ……スマホが震えた。    修だった。  一度会えないか  たった一言。  その一言で会わないほうがいいと思っていた俺の心は決壊する。  会いたい……。  これで最後にするから  修に会いたい。  いいよ。  その一言を伝えてからの毎日はあっという間に過ぎていった。  会いたい……でも会うのが怖い。  約束の土曜日。  バイトを上の空でこなし、ダッシュで帰宅する。  いつも何も思わなかったのに、好きな人が来ると意識すると、もう少し片付けた方がいいんじゃないかと思うから不思議だ。  今さらどう見られたって同じなのに。  ピンポーン  来た!  心臓が飛び出そうな程ドキドキしている。  大丈夫。  落ち着け。 「ひっひさしぶり」  声上ずった。  久しぶりの修だ。 「うん、久しぶり」  修がぎこちなく笑った。 「…………」 「…………」  とりあえず腰をおろしたものの何を話せばいいのか分からない。  修は話したい事があったんじゃないのか?  気まずい時間が流れる。  やっぱり気になるあの人の事を聞いてみようか。   「たぶん俺、修の好きな人に会ったよ」   「……誰のこと?」 「誰って……」  どう説明したらいいんだろう。  前に二人で歩いていた人って言うのも何か嫌だし。  思い出したくないけど、特徴は…… 「ふわふわした茶髪で、人懐っこい感じの  ちょっと中性的な」  ちょっとイラッとしてしまった。  思い当たったようだが、即座に否定してきた。 「……いや、それは違うよ」 「別に隠さなくてもいいじゃん」 「何か言われた?」 「いや……別に」  好きなのかと聞かれたことは黙っておく。 「好きな人、大事にしなきゃだめだって  いい感じなんじゃないの?」  言いたくない言葉がツラツラと出てくる。  もう喋りたくないのに……。 「怜央、違うよ  勘違いしてる  彼は――」 「じゃあ、他の人なんだ  そっか」  被せるように言い放った。  俺の知らない誰かを修は好きなんだ。  そうだよな。  そりゃ出会いだってあるだろうし。  見た目も性格もいいんだから、きっとその人といい感じなんだよ。  っていうか、すでに付き合ってるとか?  あー、嫌だ。  考えたくない。  他の誰かを好きにならないでよ。   「怜央だよ」  レオ、俺と同じ名前なの? 「レオって言うんだ」 「目の前にいる怜央が好きなんだけど」  ふーん……?  ……!?  待て、待て待て  今なんて言った? 「目の前って、俺?」 「そう、君です」  修が俺を好き……?  そんな事があるか?  だって解消したいって言った。  好きな人ができたからって。  混乱して頭が回らない。 「少し話してもいい?」  そう言って修は話を始めた。
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