血走った目

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 その後は関係者らしき連中に囲まれて、体をペシペシ叩かれて祝福された。  女性騎手も俺の顔をぎゆっと抱きしめた。  人を喜ばせるのも気分いいな……  後で知ったことだが、あの血走り野郎は疲れると歩様が乱れる癖があったとか。  つまりあれは作戦、やるなあの女。  次のレースまでまたのんびりとした生活に戻った。  むしゃむしゃとカイバを食べながら思う。  人だった時は夢も希望もない生活だったなぁ。 「こうなりゃあ、GI馬にでもなったろかい」   かなわない夢かもしれないが、一度死んだ身、大きな夢を追いかけることにした。  
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