血走った目

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 レースは最終コーナー。  馬群の外を通って牝馬と俺は駆け上がる。  だが、異変はすぐに起こった。牝馬が失速した。 「ハァハァハァ……もうダメ……やっぱ、私、走るの苦手……」  失速した牝馬が進路を譲るように外に変える。 「どうした? 1.8倍! 故障発生か?」 「ハァハァ……なに言ってんの……私、1.8倍じゃないし……」 「え? でもお前6枠だろ?」 「このレースは14頭立て、ハァハァ、11番は7枠で……1.8倍は……今先頭走ってる、あいつ!」  あの血走り野郎か! 「ふざけんなー、お前騙したなぁ」 「騙してないよ……ハァハァ、あなたが勝手に間違えただけ……」  怒りで俺のスピードは増した。一気に大外を駆け上がる。 「おい、お前、俺について上がって来い! こんなとこで大敗すると殺処分にされちゃうぞ!」 「あ……それは、大丈夫……ハァハァ、だって、私……良血馬だもん!」 「ざっ! けん!なぁー!」  怒りで俺のスピードはさらに増した。
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