目覚めると俺は競走馬になっていた!

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 競馬場には何度か行ったことがある。  でも、内側からパドックの外の景色を見ることがあるとは想像もしなかった。  一人の男に誘導されてパドックを歩く。俺の心はまだムカついていた。  くそ、変な名前つけやがって、でも名前だけでは判断できん! 何か俺の強さを知る方法はないか?  きょろきょろ、辺りを見回す。  そうだ! オッズだ! これを見ると俺のレベルがわかる!  オッズが表示されている電光掲示板を見る。  うわ! 単勝1.8倍がいる! 11番! てことは……6枠か、もしかして俺? 俺って何番だ?  必死に胴体につけられたゼッケンを見ようとするが、見えそうで見えない。  くそ、見えない、馬になって視界が広くなって後ろの景色も見えるのに! 「止まれー!」  停止の合図がかかる。馬の元に騎手がやってくる。  俺の騎手は……げっ!  小柄な女の子、女子高生かと思えるような騎手が小走りでやってきた。  おいおいおい、こりゃ、ダメでしょ、どう見ても新人、それも女の子、顔が緊張してこわばってるし、勝てっこないじゃん!  俺の絶望はさらに大きくなった。
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