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◆2018年(3年前)
「 そうですかあ。
マユミの友だちだったとですか。
わざわざ、ご連絡くださってありがとうございました」
「 ……ラジオで聞いていました。
そちらの地域でも被害が酷くて、無事でありますようにって祈っていたのに……
犠牲になられた方の中にマユミさんのお名前も……
ニュースで聞いて……ご自宅も……
なんにもできなくて……すみません」
「しょんなかです。台風は、どぎゃんもなりまっせん。
……運の悪かった。ほんに運の悪かったとです
……あなたが謝ることじゃなか。
あなたも体がお辛い人だと、マユミから聞いておりました。
燃え殻んごつ、なーんもできんごつなっとった、マユミも、あなたに、随分、助けてもろたとです。
親として感謝しきれんです。
残った……うちらの事まで気にかけてくださって
本当に……ありがとう……」
「いえ……」
私は、電話を切った。
3年前、日本を襲った台風は、前例のない広域水害を引き起こした。私は、ニュースを聞いていられなかった。
聞いているだけでビリビリと体が胸が痛かった。
いや、正確には体中が痛かった。
なんで、よりにもよってマユミさんなんだよ……
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