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ついに
ついに殺ってしまった。
私の事をずっとくるしめてきた男を。
この男は母と私の生活に突然入ってきた。
父親だなんて絶対に呼ばない。
小学校の時に母が亡くなった。
それからはからいつも殴られていた。
それまでは母が殴られていた。
男は母を殴り、時には私も殴ろうとした。
母は私をかばおうとした時、男から強く胸を蹴られ仰向けになって机の角に頭をぶつけながら倒れた。そして、そのまま起き上がらなかった。
男は母が転んだと言い張り、体中のあざが多すぎてその時の暴力の証明にはならず、私も報復が恐ろしくて何も言えず、母は事故死で処理された。
母がなくなってからは家の事は全部私がやっていた。
まだ、小4だった。身体は大きい方だった。
最初は普通に小学校に通っていた。
男は小5の頃から私を殴らなくなった。
そのかわり私を裸にして写真を撮り始めた。
少し膨らんだ胸。ピンクの先端。
泣きながら足も開かされた。
男の仲間が来て裸の足を抑え膝を開かせた。
処女膜が見えるまで。
股が裂けるかと思った。
私は泣いた。
処女膜が大切だと言って男は行為には及ばなかった。
しかし、外の部分には手を出してきた。
潤滑剤を指につけ、執拗に私の下半身を弄んだ。
最初は一本の線のようだった私の下半身は段々膨らんでいった。
陰唇がひらひらと外陰部に出てきて潤滑剤がいやらしく光る。
まだ固く小さかった胸もそっとだが揉まれた。乳首も弄ばれた。
私の小さな乳首が立つのを見て男も仲間も笑った。
胸もだんだん大きくなった。
そうやって、途中の経過もすべて写真に撮り、売りさばく。それが我が家の生活費だった。
小学生の裸体。徐々に膨らんでいく乳房。処女膜、発達してゆく外陰部。全てが男の物だった。
日本人ではなかなか小学生の裸は撮れないと仲間が嫌な笑みをこぼしながら言った。それも一人の児童の『性長期』だもんな。とまた笑った。
下半身の名前も写真を撮られ、それを見せられながら覚えた。
小6も終わりの頃まで、そうやって、ずっと写真を撮られてきた。
ある日
「中学校になったら本番だな。」
と、男と仲間がささやく声が聞こえた。小6で生理が来てまもなくの事だった。
生理の時の写真まで取られていたので、本番の意味もその頃にはすっかりわかっていた。
私は、最初の写真の後、私の写真を撮るときに私が暴れないように男と仲間が使っていた眠くなる薬を、飲んだ振りをして小5の終わりの頃から溜めていた。その後はいくら嫌な事でも眠い振りをして我慢してきた。
これまでの行為から『本番』は想像できず、恐怖だけが先に立った。
これ位以上の事をされたら私は死んでしまうかもしれない。
写真を撮る予定のないある日。私は思っていたことを実行することにした。
夕ご飯の時に男が飲むビールに、持っているだけの眠くなる薬を入れた。
「いつもより苦くねぇか?」
「そんなの私は呑んだことないからわからないよ。」
そのままビールを飲んだ男は昏倒した。
私の写真を売ったお金で男はマンションの最上階を借りていた。
私は小6だったが、体は大きい方だったし、男は身長も私と変わらない位の体格だったので、昏倒した男を屋上まで連れて行って、仰向けにひっくり返し、準備していた包丁でまずは心臓から刺した。途中で目覚められたら困るから。
骨に当たった包丁が滑って横に向いて深く入った。
そして、最初の一刺しの後は無我夢中で刺した。憎いこの男の事を。
もう、完全に動かない。周りの血の量もすごい。
夕方から蒸し蒸しとしていた空から大粒の雨が降って来た。
「雨よ降れ!」
私は叫んだ。
自分も裸になり、本降りになった雨に打たれるままになった。
「雨よ降れ。私を清めて。」
雨は私の涙と一緒にこれまで私の身体にされた出来事も流してくれるようだった。
雨はザァザァと大きな音を立てて降り続く。雷も鳴っている。
男の身体の周りからは血が流れ始めた。
「雨よ、もっと降れ!全部流せ!」
私は裸のまま立ち尽くし天を向いて叫んだ。
男の血はマンションの壁を流れやがて道行く人が壁を流れる血に気が付いた。
通報を受けた警察がマンションの屋上に行き、こと切れた男を見つけた。
そして、隣に裸で立っている私の事も。
男は児童ポルノの容疑者として名が挙がっていた。
保護してみると、隣に立っていた私は男が容疑をかけられていた児童ポルノの被害者である私だった。警察は私と男の関係性を私から聞き出した。
私は保護されたが、身寄りもなく、触法少年として児童相談所に送致された。
流れてしまった私の画像は永遠に消えない。ある程度年齢が行ったら、整形させてもらえるように精神科の医師も含めて、児童相談所の職員と相談中である。
【了】
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