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先輩は、鼓動が飛び出そうになるのを抑えながら話す。
看取り人は、じっと先輩を見る。
「嘘ですね」
先輩は、ぎゅっと右手を握りしめる。
「嘘なんてついてないよ。何でそんなこと言うの?」
「先輩を見れば分かります」
先輩は、思わず自分の顔を触る。
ひょっとして表情に何か出ていたのだろうか?
「顔には出てませんよ」
看取り人は、三白眼をきつく細める。
「……!嘘ついたの⁉︎」
「ついてません」
看取り人は、首を横に振る。
「言ったはずです。先輩を見てれば分かるって」
先輩の切長の右目が大きく見開く。
「で?何があったんです?」
看取り人は、先輩の鼻先まで顔を近づけて質問する。
先輩は、羞恥のあまり顔を真っ赤にして右目を反らす。
「ひょっとして……」
看取り人が三白眼でじっと睨む。
先輩は、顔をさらに真っ赤にして唾を飲み込む。
「好きな人が出来たんですか?」
……へっ?
先輩の顔から急激に熱が引いていく。
「昔、小説で読みました。好きな人が出来ると急に態度が変わることがあるって。特に異性に対して」
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