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割り切ることが出来た?
……なにを?
「……ふざけないで」
先輩の口から冷たく、低い声が漏れる。
聞いたこともない先輩の声に看取り人は三白眼を大きく広げる。
「言わなかったのは……どっちよ」
切長の右目が燃え上がる。
「先輩?」
「貴方は……いつもそう。私の方が年上なのに大人ぶって……子ども扱いして……何でも分かったような顔して……まったく的外れなこと言って……」
先輩の切長の右目から涙が一筋流れる。
看取り人の三白眼が小さく震える。
「今だってそう。全然分かってくれてない。私のことなんて……どうでもいいんだ」
もういいや。もう……どうでもいい。
「貴方にとって……私なんてただの昼友だったってことでしょ?」
この人に気持ちを伝えたって意味はない。
この人は……私のことなんて何とも思ってないんだから
「先輩?何を言って……?」
「もう近づかないで。話しかけないで」
先輩は、手の甲で涙を拭い、背中を向ける。
「さようなら」
「えっ?」
「幸せになってね。応援してる」
そう言って先輩は、走っていく。
看取り人は、右手を伸ばして追いかけようとする。が、スマホが鳴る。
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