失恋(7)

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「彼は……なんて?」 「……何も……。私が一方的に話して、さようならしてきました」  そう言って先輩は小さく笑う。 「……いいのかい?」 「はいっ。もうスッキリしました」 「……そうか……」  白髪の男は、小さく息を吐き、小さく微笑む。 「君がそう選んだなら……もう何も言わないよ」 「お世話をおかけしました」  先輩は、頭を下げる。 「頑張ったね」  白髪の男は、手を伸ばして優しく先輩の頭を撫でる。  冷たい……とても冷たい。  先輩は、切長の右目を震わせる。  白髪の男は、優しく目を細める。 「それじゃあ、君はやることが無くなった訳だけどどうするのかな?」 「……良かったら見ていてもいいですか?おじさんが手紙を書くのを……」 「もちろんだよ。むしろ嬉しい」  白髪の男は、先輩の頭から手を下ろし、バインダーを力なく持ち上げる。 「実は今日……手紙を書き上げないといけなくなったんだ」 「今日?」  先輩は、切長の右目を丸くする。 「なんで……そんな?」 「深い意味はないよ」  白髪の男は、小さく笑う。 「昨日も言ったけど……時間は有限。ただそれだけさ」
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