18人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
週末、市営のスポーツセンターに女性陣6名で向かった。わざと時間を見計らって到着した為、館内に入ると男性陣はすでに始めていた。一番奥のコートに見慣れた顔が幾つもある。パスを受ける瑶が目に映る。
「懐かしいなー。この音…」
想い出が甦る。胸の痛みと一緒に。
隠れる様にしてプレーを覗き込む。見た感じ、細かいルール無視で適当に入れ替わりながらの3×3をやっているみたいだ。翔也はベンチ。瑶はプレー中。行くなら今だ‼︎
「翔也君。お疲れー」
「ヤバ。ホントにめっちゃ来てくれたね」
翔也が顔を近づけて小声で言う。
「大いに張り切ってくださいよ‼︎」
「うん。見てて‼︎」
タイミング良く…いや、悪く。交代で翔也が行ってしまった。あ、ヤバい。急いでみんなの所に戻ろうとしたけど遅かった。
「柳瀬」
腕を掴まれていた。
「あ、あぁ…」
「久しぶり」
「あ、うん。よ…柏木。元気そうでなにより」
「は?」
「あ、ちょっと呼ばれてるから、ね」
掴まれた腕を振り払って逃げた。
入れ違いに砂都ちゃんが瑶の所に行き話し始める。ああ、辛い。心臓が痛い。
「ナイッシュー」
懐かしい掛け声に振り返る。翔也が仲間とタッチして笑っている。みんな女性陣を意識してレッグスルー連発。狙い通りきゃーきゃーと騒がれて嬉しそうだ。また翔也がスリーポイントを決めた。高校の時から得意だったからね。変わらずキレイなフォーム。
「ナイッシュー」
思わず声を掛けると、翔也が手を上げて応えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!