想い出が始まる前に

2/39

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「葉月さん、夜空いてますか?」 「空いてますよー」 「お願いします‼︎」 「…またか」 2つ下の砂都(さと)ちゃんに定期的に誘われる出会い系のパーティー。私、全く焦ってはいないんだけどね。女性は基本無料だし、予定のない時は付き合いで参加している。 「今日はどこで?」 「立川ですッ」 ふんわり女子の砂都ちゃん。毎度誰かしらとカップル成立するんだけど、続いた試しがない。 雑居ビルの一室に並べられた向かい合わせの椅子。バインダーに挟んだメモ用紙にペンをスタンバイさせる。 「柳瀬、葉月さん」 「あ、はい」 「素敵な名前ですね」 「ありがとうございます」 「会社にお勤めなんですね?どの様な…」 男性陣が1人ずつ席をズレていき3分ずつのトークをする。同じ様な会話を繰り返す苦痛の時間。参加する度に思うんだけれど、この3分のトークで一番のお気に入りを見つけろってのは無理があるわ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加