想い出が始まる前に

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私は地方の大学進学が決まっていて、卒業したら地元を離れる事になっていた。卒業式が終わったら、好きだった事を伝えると決めていた。 瑶を探した。靴箱にまだ靴がある。私は教室に向かった。瑶の教室から伊藤さんと瑶の声が聞こえた。近くまで行くと会話が聞こえた。 「…」 「…だろ」 「葉月ちゃんじゃないの?」 「ないわ…。マジで。柳瀬だけは絶対に有り得ない。ウザイんだよ」 私は走ってその場を離れた。 あー…そうなんだ。私、勘違いしてた。マネージャーだったから、無理して優しくしてくれてたんだ…。 まさか、こんなに嫌われてたなんて…。 「うわー…。恥ず」 楽しかった三年間が涙で滲んで歪んでいく。大切だった想い出が全部色褪せていく。大好きだった。大好きだったのに。 もう二度と会いたくない。
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