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「じゃ、乾杯」
私と翔也、砂都ちゃんと瑶が隣同士に座り、私は砂都ちゃんと向かい合っていた。つまり対角線上に瑶。とりあえず砂都ちゃんがひたすら喋り続けているので相槌を打つだけで済んでいる。このまま小一時間耐えて帰ろう。
「葉月ちゃん、瑶とは…こないだのが6年ぶり?」
あーきた。最悪な話題…。
「…まあ、そう」
「え?2人知り合いだったんですか?」
「言ってなかった?」
「ないですよー」
「そうだっけ?ごめん」
「マネージャーだったんだよ。葉月ちゃん」
「えー?それも聞いてなーい」
「ごめんごめん」
「瑶君、高校の時どんなでした?」
帰りたい。無理ー。
「…真面目?だった?かな?」
「は?」
「他にはどんな感じでした?」
「よく、転がってた…」
「何だよそれ?」
「わかる‼︎確かによく吹っ飛ばされてたよな‼︎」
「うるせー」
「えー。痛そう」
教えたくないんだよ。話したくないんだよ。もう聞かないで…。
「柳瀬はテーピングヘタだったな」
「…すいませんね」
「葉月ちゃんテーピングやってあげてたの?」
「先輩から覚えてって言われて、一通り勉強したよー」
「まだできる?」
「どうだろ?」
「俺も城南行けば良かったなー」
「翔也君のスリーポイントあったら、かなりの戦力だったろうねー‼︎」
「マネージャーって事は、選手の誰かと付き合ったりしてたんですか?」
「ないない‼︎逆だよ。マネージャーだから、付き合わないんだよ。みんな平等にしないと」
「好きになったりもしないんですかー?」
「さー?どうかなー?」
ちょっともう笑ってられない。この子本当にムリだ…。
「そろそろ出よう」
瑶が携帯を見ながら言った。
「あ、そうだな」
翔也が伝票を持ってレジに行く。
「いくら出したらいい?」
会計を終えた翔也に聞くと
「いいよ。今日は俺ら2人で出すから」
そう言って笑った。
「えー、でも何だかんだいつも多く出してくれてるから…」
「今日はホントいいから。次はちゃんと貰うからさ」
翔也に言いくるめられて財布をしまう。
「ありがとう」
「…柏木も、ありがとう」
「翔也さ、宮原さんと同じ電車だろ?送ってやれよ」
「え?」
「俺らJRだから」
瑶が私の腕を掴んで歩き出した。
「え⁈ちょっと待ってよ」
「おい‼︎瑶⁈」
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