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『ないわ…。マジで。柳瀬だけは絶対に有り得ない。ウザイんだよ』
「待て‼︎それが原因だっての?前後は聞いてなくて?」
「聞いてられるわけないじゃん‼︎」
瑶が頭を掻きながら私を見下ろす。その表情にセリフを付けるとしたら多分「マジかよ?」だ。
「卒業式近くにさ、備品盗難事件あったろ?」「…あった」
「伊藤から、柳瀬が備品転売に絡んでたって言われてたんだよ。あの時」
「はぁ?」
「だから、お前だけは絶対にやるわけないって言ったんだよ」
「『ウザイんだよ』は…」
「伊藤に言ったんだし」
「何だ…。何だ、そんな事…」
「…っざけんなよ。お前の聞き間違いで6年かよ?」
「…良かった。嫌われてたんじゃ、なかったんだ」
「バカじゃねぇの?」
涙が溢れない様に目頭を強く押さえつけた。
「帰るぞ」
そう言って瑶は少し前を歩き出した。
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