BL、ときどき天文研究部(仮)

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 みなさんこんにちは、三原裕人です。まだ日付は変わってなくて、新学期の放課後です。話の展開が遅くて、本当にすみませんね…。一応、時刻的には「こんばんは」が相応しいくらいにはなりました。  …って、こないだと全く同じ挨拶じゃないですか?実際、コピペしましたけど。手抜きも、甚だしいですね。これ以降展開が早くなるのは確かなので、気長にお付き合い頂ければ幸いです。  放課後、伊勢嶋に呼びつけられたんですよ。彼が天文部存続のため、あちこちに手を回したってのは言いましたよね。果たして、その結果ですが…。  「はぁ?『BL、ときどき天文研究部(仮)』!?」  はい、ここに来てのタイトル回収です。読者の皆様方は、だいたい察しがついておられた所でしょう。天文に絞っては部員が集まらなかったので、苦肉の策の合併と言えましょうか。何で、こっちが「ついで」みたいな立場なんだ。どうでもいいけどこの展開、T○RI T○RIかよ。  「まぁまぁまぁ。部員と顧問の先生、すべて根回しして連れてきたのは俺なんだから文句言わないでよねっ」  当の、伊勢嶋が言いました。正直、そこを突かれたらぐぅの音も出ない。彼の交友関係と実家の権力を使い尽くして、集めるだけの人を集めてきたらしいですよ。まず部員として、三年の二階堂と加藤。そして、二年の笹川と岡坂。ほとんどが名前貸しだけの幽霊部員で、実際この場にも揃ってませんけど。  顧問にも、配属されたばかりで右も左も分かりませんみたいな新任教師を無理やり当てはめたらしい。まぁBL部顧問として、これから嫌でも右と左を覚えさせられるんでしょうけどね。ってか、違う違う違うそうじゃない。俺が突っ込みたいのは、そんな所じゃなくてですね…。  「何で、二階堂がここにいるんだよ(※むしろ集めた部員で、二階堂くらいしかここにいない)!?お前、バスケ部のレギュラーだろうが!兼部とかしてる場合じゃねぇだろ?こんな所で油売ってないで、さっさと練習して来いよ!」  「まぁまぁまぁ。心の友である伊勢嶋くんに頼まれたら、嫌とは言えねーじゃん?BL部とやらの活動も、何だかんだ気になるしよ。それに、部が消えそうで困っている健気な後輩のためと聞けばね。この二階堂怜央、いつだって馳せ参じる覚悟だぜ!後は、部室に布団があるって聞いたから。練習前の一休みに、ちょうどいいかなーなんて」  「そう言う不真面目な奴がいたから、天文部が廃部の危機に瀕してたんだろうが!新学期始まったばっかとは言え、試合控えてんだろ?さっさと、部室行けよ!あっちの方のな!」  「あぁん、ひどぅい…。そ、それじゃ堀北くんだっけ?また、ちょいちょいこっちにも顔出すからね。よろよろ〜」  「え?あ、はい。に、二階堂先輩…」  「そんな堅い呼び方しねーで、レオくんとかでいいからさ。そんじゃね〜」  そんな事を言って、嵐のように去っていった。全く、こんな所でもあいつと顔突き合わすとはな…。二階堂怜央。同じく三年生で、バスケ部のレギュラー部員。転生の素質と身体能力で、部を何度も勝利に導いてきた。いや、才能に負けない地道な努力を重ねてきたんだと思うよ。だけど、俺がバスケ部を引退した理由…。加えて、何かとコンプレックスを感じやすい理由もあの野郎が一因となっている訳だ。  あの野生動物じみたカンは、欲しいと思って努力して手に入るもんじゃない。だけどここぞって勝負どころでは、それが何より大切って訳。飾らない性格で、あのとおり人懐こいので部の後輩たちからも慕われてるみたい。これまた、俺が欲しいと思っても手に入らない性質やね。  しかも最近、変な噂聞いたぞ。一年前に罰ゲームで付き合う事になったクラス一の陰キャと、未だ関係が続いているとか。もともと黒髪の美少年に、無上のフェティシズムを感じていたとか…。道理でタイプの違う伊勢嶋とも、えらく仲良さそうにしてると思ったわ。  これ、希望は大丈夫だろうな…?ちょっとネコっ毛だけど黒髪で、超がつくほどの美少年だからな。これは痴漢だけでなく、二階堂の魔の手が及ばないようにも注意しないと…。でも、当の希望としてはどうなんだろう。俺よりも、よっぽど「有名人」とお近づきになれた訳だけど。実際今も声かけられて、嬉しそう…。ってか、なんか顔赤い?と思っていたら。  「びっくりした。バスケ部での三原先輩って、あんな感じで話してたんですね。いつもの、クールな雰囲気と違うから。でも、『仲間』って感じで憧れます」  「…みっともない所、見られたかな。でも、あいつだけ特別だよ。他のやつには、あんな態度取らないし…」  「気のおけない人ですもんね。でも、いい人だと思います…。俺たちも同じ部員になった訳ですし、これからもよろしくお願いしますね」  「俺もいるよ!俺も!」  伊勢嶋が、横から口を出した。希望と二人きりなら、もうちょい進展もあっただろうにね。設立初日から波乱含みだったけど、まぁなるようになるだろう。伊勢嶋は俺らの仲を後押ししてくれるらしいし、気遣ってチャンスを作ってくれるかも?  そう。俺たちの恋路も部活動も、まだ始まったばかり。あきら先生の次回作に、ご期待下さい!  ってこれ、完璧な打ち切りフラグじゃねぇか。ここまで引っ張っといて、まだ終わらないよ。希望と結ばれるその日まで、もうちっと話は続くんじゃ。
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