BL、ときどき天文研究部(仮)

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 5月2日 晴れ  「はぁー?愛しの希望くんにマンションまで誘われといて、何の進展もなかったって?勢いで事故チューしたくらいで、その後は日曜日までグースカ寝てたって?アホかよ、お前は」  みなさんこんにちは、三原裕人です。今回は、いきなり二階堂の暴言からで失礼します。今日は、GWの間の平日で普通に授業があったんですよ。だから、久々に天文部の部室でみんな集まってるって訳。言うて肝心の希望が委員会の用事で遅れるので、俺と二階堂と伊勢嶋の三年生トリオだけですが。  当然ながらバスケ部の練習もあるので、二階堂はサボり目的ですよ。さっさと追い出そうとしたのに、こないだのお泊りをネタにネチネチと絡んできやがった。何の進展も無かったこと、俺だって気にしてるのにさぁ。  「う…うるせぇーわ!俺は、お前みてぇなチャラ男とは違うんだよ!ってか、知ってるぜ。愛しの加藤くんと付き合ってから丸一年立つのに、たまーにちゅっちゅしてもらう程度の仲だって?お前にしたら、えらく慎重じゃねぇか。おおかた、付き合い始めたその日にラブホでも誘ったかと思ってたけどな」  「うっ。実際にそうしたら、めっちゃ拒否られたんだよな…。ってか、いいじゃねぇかオレの事は。今は、お前と希望くんの話だから!お前らを見てると、やきもきするんだよ。オレ、BL本見てても『さっさとヤる事ヤれよ!』って思う派だからさ」  「なになに、BLの話?うんうん。確かに、Hシーンは大事だよね。だけどさ。あんまり早くヤる事ヤっちゃうと、その後のシーンまるまる無意味ってなっちゃわない?」  うおっ。BLの話になった途端、伊勢嶋が食いついてきたぞ。いたのかよ、こいつ。ってかまぁ、立場上は部長だもんね。何だかんだ一番部に貢献はしていて、今日も実家からすげー高価そうな天体望遠鏡持ってきたんだよな。長男の「桜兄さん」とやらが大昔買ってもらったやつで、今は誰も使わないから寄付するんだってさ。学校に恩を売っとけは、我らがBLときどき天文部の活動も安泰…。ってかこの望遠鏡、あとで希望が見たらめっちゃ喜びそうだな。  ってな訳で(?)人数が増えたので、ここからはいわゆる台本形式でお送りしますね。エブでは、割と小馬鹿にされやすい形式らしいですけど。ちなみに薄々感づかれたと思いますが、雑談だけの割とどうでもいい回ですよ。正直このページまるまる読み飛ばしても、本編に支障はないと思われます。  三原裕人(以下、三)「はい!僕は、伊勢嶋くんの意見に賛成です。BLの本質は二人が付き合うまでの歯がゆい期間と、付き合ってからの甘々な展開にあると思います。だから、さっさとヤる事ヤってしまってはそこから先が消化試合になってしまうと思います。これは、BLに限らず男女の恋愛ものでも同じです」  二階堂怜央(以下、レ)「はい!僕は、三原くんの意見に反対です。BLだろうが男女の恋愛だろうがはたまた現実の恋愛だろうが、愛する二人が出会ったならさっさとヤるべきだと僕は思います。ぶっちゃけ人間の三大欲求は『食欲・性欲・睡眠欲』なんで、そのうち一つを満たす事に何の恥ずべき事もないと思います」  伊勢嶋雪兎(以下、雪)「あれ、これって挙手制?それじゃ、はい。えーと、僕は二人の意見に賛成かな。レオ君みたいに、『いきなりステーキ』みたいな作品も嫌いじゃないよ。むしろ健全でも、最後くらい濡れ場がないと物足んないかな。だけどその作品ってか作者さんってか、カップルの路線にも寄るじゃん。無理にHに持っていかなくても、二人の進展を見守るだけで楽しいかなって」  レ「おっ、流石は部長。いい事言うじゃん!分かるぜ。このカップルは、『ワシが育てた』ってやつだな!結論、『みんな違って、みんないい』。ってな訳で、第一次BL部討論会は終了〜」  三「討論会だったのか?ってか、うまい事まとめましたみたいなドヤ顔しやがって。まぁいいか。初めて、BL部としての活動らしき事をしたかな。いい加減、『ときどき天文部』の活動も始めて頂きたい所だが」  レ「それなー。せっかく伊勢嶋くんのお兄さんから、素敵な望遠鏡も寄付してもらったんだしよ。それに、三原から流星群の話聞いたらオレもちょっと羨ましくなってきたぜ。近々、目ぼしい天文活動とかねーのかよ?」  三「昨晩ちょうど、金星と木星が大接近してたらしいけどな。あいにくの雨だったって、希望が泣いてた。今月は、15日の日曜日にてんびん座α2星ズベンエルゲヌビの食があるらしいけど?」  レ「ズ…?ごめん、聞こえなかったからもう一回言って」  三「ズベンエルゲヌビな」  レ「ごめん、聞こえなかったからもう一回言って」  三「ズベンエルゲヌビな。お前、それ言わせたいだけだろ」  レ「あはは、ごめんって。はいはい、てんびん座α2星ズベンエルゲヌビな。昨夜の晩御飯に出てきたわ。だけど、あいにくその日は試合なんだよなぁ」  三「何だよ、ここまで言わせといて。ってかお前、休日はほとんど試合とか大会じゃん。それじゃ、またGW中の平日で6日は?今度は、みずがめ座η星が極大だとよ」  レ「いいじゃん、それ!ちょうど姉貴がGWで里帰りしてるから、練習後に車出してもらってみんなで行こうぜ!」  三「次の日も、試合なんだろ?大丈夫なのか、お前。前から思ってたけど、本当に体力馬鹿だよな…。まぁ、いいや。みんなで行った方が、希望も喜ぶから。それじゃ部長、何か締めて」  雪「えぇー、俺?面白い事とか、何も言えないよ?えーと、それじゃ…。『次回、天文部の初活動』を乞うご期待!今回、本当に読まなくてもどうにかなったね」
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