BL、ときどき天文研究部(仮)

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 「おっと、自己紹介が遅れたね。俺の名前は、伊勢嶋雪兎。通りすがりの、BL同好会部長だよ。君らのわちゃわちゃを見ていて、微笑ましく思っていた所だ。と同時に、新作BL小説の構想がエブエブと湧き上がっていた所だよ…!」  あぁ、知ってるこいつ。直接話した事はないけど、変人として有名だから。伊勢嶋雪兎18歳ホモ、俺と同じく新三年生。この度、初めて同じクラスになったとかならないとか。あんまり、お目出度いとも思わないな。  実家が市内では有名な個人病院で、うちの学長とも密接な関係(意味深)。学校にもクッソ献金してるから、こいつ相手に逆らえる教師は誰もいないんだとさ。クラス内での立ち位置は、空気らしいけれど。  さっき言ったとおり、本来部員が一人では同好会としても認められないんだけど…。実家の権力ゆえか、気づかなかった事にされてるらしい。あまつさえ部室まで勝ち取って、一人で放課後に色々と(意味深)してるらんだって。何かのコンテスト?に入賞したり、ちゃんとした実績も残してるそうだけど…。  ってか、伊勢嶋の紹介は一旦このへんで。あまりにキャラが濃すぎて、主要人物である俺らが霞むからね。どうでといいけど、向こうから何か話しかけてきたぞ。  「三原裕人くん、元バスケ部員だね?君のことは、ずっと前から知っていた。有名人だし。いかにも、BL小説における攻めっぽい名前だなと思っていた」  有名さで言うなら、お前にだけは言われたくないわい。ってか後半部分、元カノ(腐女子)と一言一句同じ事言ってるな。こいつら会わせたら、絶対に気が合いそう。いや、会わせませんけどね。俺ってそんな、「有名人」なのかなぁ…。自分では、自覚ないわ。一応これでも、強豪校であるうちのバスケ部でレギュラーにはなってましたが。だからこそ、そこの堀北くんにも知られてたのかな。  「そしてそこの君は、堀北希望くんだね?いやぁ、重ねて受けの見本みたいな子だ。君たちを見ていると、次回作の創作意欲が次々に湧いてくる。どうだね、天文部とやらの存続…。この俺に、委ねてみないかい?」  あれ?俺、いつの間にか天文部に入部する前提になってる?まぁ、いいか。何やら面白そうだし、ちょっとこのまま成り行きに身を任せみるか。  「え?そりゃ、俺が勧誘を続けていても一人の部員も誘えなかったでしょうし…。思い出のある天文部を残してくれるなら、何でもしますけど」  「ん?今、何でもするって言ったよね!?いけないなぁ。君みたいな子が、何でもするとか気軽に言っちゃ。いや、そんなに大した事ではないよ。ただ、君たちの事を観察して…。次回作の、参考にさせてもらいたいんだ。そう…。ダル系男子×ワンコ系後輩男子の、ゆるキュンBLストーリーにね!」  「俺って、ダル系男子なんだ?」  「俺って、ワンコ系後輩男子なんですか?」
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