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情けない落語をしている自分になぜ何も言ってくれないのか、とか、自分の落語はこのままでいいのか、とか。 「てめぇで考えろ」 見透かすように見ている師匠の視線を、栄助はまっすぐ受け止めることができなかった。 ※ 「どうしたんですか?栄助さん」 閉店間際の和菓子屋の扉をくぐると気配を察したタエ子が話しかけてくる。 クサクサした栄助は、心配そうな顔をしてくるタエ子が鬱陶しい。 「そんなに邪険にしないでください」 悲しそうに笑うとタエ子は栄助を奥へ誘う。 「すぐ兄を……」 「なんだ、栄助。えらく苛立ってるな」 タエ子が呼ぶまでもなかった。話し声に気付いてヒョイと顔を覗かせた勝は、呆れたように、ふん、と鼻を鳴らして栄助を見下ろす。 鼻息が荒いのは勝のクセで、決して馬鹿にしているわけではない。 だが、今は癇に障る。わかっているが、栄助の口から舌打ちが漏れた。 「腹でも減ってるのか?食ってけ」 まだ片付けがあるのだろう、勝は言い残すとさっさと奥へ引っ込んだ。 勝に親子会の時のまんじゅうの最終確認をしにきただけなのに、何故、ちゃぶ台の前でタエ子が出した茶をのんきに飲んでいるのか。
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