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師匠に言われたのと同じような言葉を残して松栄は部屋から去っていった。 「なんだってえんだ、あいつは」 栄助の呟きは誰もいない部屋に響いて、消えていった。 ※ しばらく入っていた茶屋での一席も、栄助が謹慎していたと知るとすぐにお呼びがかからなくなる。 情けない、と思う一方で栄助自身ホッとしているところもあった。 「おい、栄助!」 師匠の呼ぶ声が聞こえると飛んでいく。 「おめぇ、二つ目になったからって、鈍ってるんじゃねぇか?ちゃんと師匠の世話くらいしろってんだ」 「へぇ」 「返事が小せえ」 「へぇ!」 前座の時のようにどやされ、小間使いのように動き回る。 合間に師匠相手に一席打つ。 「全然だな。それでもおめぇ、二つ目か?」 師匠が呆れたように首を振るところまでお決まりだ。 だが、今日はそれだけで終わらなかった。 「なぁ、栄助よ。おめぇは何故落語をする?」 「それは……」 栄助は言葉に詰まる。何もかも見透かすような師匠の視線が痛い。
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