プロローグ

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「おそれながら姫様、王様から伝言を預かっております」 「そう、ありがとう。その伝言が花婿を選べって話だとしたら、言わなくていいわ」  姫が優雅に否定の手を振ると、レイダは黙礼して下がります。  王様は一人娘の姫を深く愛していますが、近頃の姫にはさすがに苛立ちを隠せません。  年頃になる前から幾度も持ち込まれる縁談を拒絶し続けるマリー姫に、ならばどんな夫を望むのかと聞いて始めたのが、あのルリオオスバメの君探しなのに、当の姫が一向にそれに興味を示さないからです。  ルリオオスバメたるものが何なのかは姫しか知りません。  持って生まれた才知に加え、あまたの書物を読み耽るマリー姫は国一番の学者よりもまだ博識なのです。  鳥なのか。花なのか。宝石なのか。はたまたそのどれとも違うのか。  王も側近も、男たちが自信満々に応接間に持ち込む、鳥だの花だの宝石だの、十人十色のルリオオスバメをへどもど見分しては途方に暮れていました。
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