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「俺は、俺にはずっとあなたが眩しかった」
「私もよ。ここにいる間だけ、本当の私に戻れた」
「本当にいいんでしょうか。俺はただの庭師でしかない」
「いいの。もしダメっていう人がいるなら、私が良くしてみせる。それにあなたは素晴らしい才能の持ち主だわ」
姫が七色のバラを見つめます。
ラブリーマリー、小さな姫と勇者の約束の花。
花園の空にはのどかに雲が流れ、蝶が遊んでいます。
レイダが鉢を胸に抱えあげました。
たわむれの空想に現実の息吹を宿らせたレイダ。その胸で高く太陽を映した花弁は、よりいっそう優美にきらめいています。
「本当は、この庭園一面をこの花で満たしたかった。そうしたら、もう一度顔を上げてあなたの前に立てるかもしれない、そう思っていました。でももう、いじけるのはやめます。これはラブリーマリー。俺のあなたへの想いは絵空事の花にこの名をつけたときから、一度も変わりません」
跪いたレイダは七色に輝くバラをマリー姫に捧げました。
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