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プロローグ
むかしむかしあるところに、ゆたかな水と緑に囲まれた国がありました。
代々の王家が治める、猫の背中のように平和で、鳩の額のように美しい小さな国です。
ささやかながら堅実な繁栄をほこるこの国に、ある日ひとつの御布令が出されました。
『王の一人娘、マリー姫の花婿をひろく一般から募る。壮健かつ精錬、秀明な男子であれば身分は問わず。我こそはと思う者は伝説に謳われる神秘、ルリオオスバメを献上し、その資質を証明せよ』
これには国中の男が浮き足立ちました。
それもそのはず、麗しきマリー姫は国いちばんの美女であり、花にして星、希望にして光なのです。この国に生まれた男は誰だって一度は彼女に恋をします。
民だけではありません。姫の美貌は遠いあまたの諸国まで知れ渡っています。
御布令が出てからというもの、海を越え、山を越え、夜もなく、昼もなく、王族から下働きの人足まで、城の前には押し寄せた求婚者で毎日行列ができるようになりました。
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