エピソード2

1/1
前へ
/3ページ
次へ

エピソード2

 昔、こんな話を聞いたことがある。  とある職場のゆるめの屋外のスポーツサークル。その日は雨がしとしと降っていた。ほとんどのメンバーはきっと今日は中止だろうと閉店気分でいた。  しかしその時、ある職員がニョキっと現れるなり得意満面で「この雨、すぐに止むぞ!!」と言ったらしい。  雨はすぐにやんで他のメンバーがどんよりする中、その人だけは テンション高く、周囲の引き具合などお構いなしで楽しんでいたらしい。  全くもって迷惑な人だ。と、その時私は思った。    そういう私は晴れ女である。雨の音が好きな晴れ女である。  学生時代に始めたソフトボールに今も執着している。  試合の日が雨であっても「現地は晴れているかもしれない。」と自転車をずぶ濡れになってこいで行ったものだ。  母は「試合などあるものか」と呆れていたが、 私はペダルをガンガン踏み込みながら「現地に着いたら絶対晴れている!!」とつぶやいていた、というか叫んでいた。  そして大抵、現地に着くと晴天なっており、グラウンドもなぜかコンディションが良好で、試合は決行された。   私は自分の言ったことが叶ったと、大喜びで全力プレーをしていた。周囲がドン引きしていたかどうかは全く覚えていない。  ここまで思い出してハタと気がつく。  私もそこまで変わらない。迷惑な人だったのかもしれない。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加