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番外編
side 亜希
世間に俺とえまのことを公表してもう少しで一か月が経過する。
特に仕事に影響をするようなこともなく、思ったよりも受け入れてもらえているようだ。
『特別な人です。一生手放す気はありません』
そう言えば、大抵の人は”結婚”するのだと当然思うだろうが、えまはそういうことは全く考えていないようだ。
(…無理に結婚する気はないけど、早く結婚したい)
えまは転職先にも慣れてきたようで最近は仕事が楽しいとよく言っている。
「えま、ごめん。今月の休みなんだけど全部平日なんだよね」
「そうですか。大丈夫ですよ!私が仕事の時はここに来られない時も多いかもしれませんが、出来るだけサポートしますので」
「うーん、そういうことじゃないんだよね」
えまの住むマンションで彼女の作ってくれたハンバーグを食べながら今月のスケジュールについて共有した。
だが、彼女はにっこり笑ってサポートとか俺の求めていない話をする。
「別に家事をするために俺の家に来てほしいわけじゃないよ。そんなの家事代行に頼むだけだし」
「…彼女だし、そういうサポートもしたいなって」
「うん、知ってる。ありがたいけど、えまだって仕事あるんだから俺のことなんてどうでもいいんだよ」
えまはありがとうございます、というが納得していない様子だ。
「永久就職っていうのもあるけど」
「…ん?」
「まーいいよ。それより明日はえま休みでしょ?何するの?」
キョトンとするえまにとってまだ”結婚”という二文字は遠いようだ。
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