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俺がえまの家に行くこともあればえまが俺の家に来ることもあるが、本当は同棲をしてしまえば楽だと思った。
今の俺の家に彼女が引っ越してくるという選択肢が一番手っ取り早いのだが…。
先にベッドの中に入っている俺の隣にえまが入ってくる。枕元の間接照明が周囲をほんの少し照らす。
「よし、寝ましょう。明日亜希君何時に起きますか?一緒に起きます」
「いいよ、大丈夫。明日は、かなり早いから。5時前には起きる」
「それくらいなら大丈夫ですよ」
「ダメだって。えまは寝てていいから。合鍵もあるし」
「でも…」
えまが俺の方に体を向ける。化粧をしないと余計に幼く見える彼女の眉尻が下がっている。
「ダメ。それに俺はえまがスヤスヤ眠ってる顔みて家を出るのが実は楽しみなんです」
「え、嘘。見ないでください!」
「無理だね、俺の楽しみなんだから」
「もうっ…!亜希君って意地悪なところありますよね!」
「で?何でそんなに俺に合わせて起床したいの?」
「時間を合わせたいんじゃなくて…いってらっしゃいって言いたいだけです…朝起きたときにもう亜希君がいないんだってなるとちょっと寂しくなるんです」
今度は恥ずかしそうに口を窄める。
「はぁ…無自覚に煽るよね、えまって」
「ん?…え、ちょっと、」
えまの手首を掴み、シーツに縫い付けるように固定して組み敷く。
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