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こういう展開になるなど全く予想していなかったとでも言いたげな顔を向ける彼女の額にキスをする。
「わ、っ…―」
そして“そういう展開”になると悟ると直ぐに逃げようと体を捩ったり視線をキョロキョロして
「そういえば!あの…私」
と、どうでもいい話をしたりする。
おそらく彼女はまだ慣れていないようで、そんなところが可愛いとも思うのだけど流石に俺だって毎回焦らされるのは勘弁だ。
「嫌?」
「…そういうことではなくて、」
「じゃあ抱いていい?」
「ぁ、」
許可をもらう前にえまの首筋に顔を埋める。
直ぐに艶っぽい声を漏らすくせに、顔を背けて行為から逃れようとする。
そういう言動全てが更に“煽っている”とも知らずに。
「亜希…っ、君、待って、明日…早いから…」
「やだ。前回だって我慢したんだけど」
「だって…亜希君は仕事で忙しいのに…時間があれば寝てほしいんです」
あと少しで唇が重なりそうなほどの至近距離で切実に訴えかけるえまを見て思わず笑みがこぼれる。
「ありがとう、そういうところ凄い好き」
「…っ…」
「電気つけていい?もっと顔見たい」
「い、嫌です!」
「じゃあこのままでいいから抱いていい?」
「……」
諦めたように頷くえまの唇に自分のそれを勢いよく重ねると
「んんっ…」
リミッターが外れたようにえまを求める。
鼻から抜ける声が余計に俺を煽る。
えまが俺しか見えないという顔を見せる。
びくびく体が痙攣し、その度に嬌声を上げる。
その度にもう少し優しくしたいのに、俺の中の嗜虐性が顔を出す。
「あ、…き…く、」
半開きになった唇を塞ぎ、強く手を握る。
でも、彼女はそれに応えることが出来ずにただ俺に身を任せる。
虚ろな双眸が俺を捉えた後、内ももに力が入り、がくっと全身が脱力する。
そんなえまの体を引き寄せ「好きだよ」と囁くが頷いて深い眠りについた。
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