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裏表紙見返し(おまけ)
「ち、ちなみに私のどこを、そのぅ..気に入ってくださったのかしら...?」
思い返せば、気を失う前の私はなんかもう吐いたり泣いたり酷い有様だったような気がする....。
そんな状況でも、告白を受け入れてくださったということは、コウタロウさんはよっぽど聖人..には、見えないから私のどこかとってもお気に召したところがあったのかしら。
「....。」
無言。
まさか、無いの、ご自分の意思。
私が言えた義理では無いけれど。
いやそれとも、私の魅力が無いのかしら。
「好きな所は...無い、ですか」
泣きそうになりながら聞く。未だ無言。うんともすんとも言わない。でも、言わないけれど視線は感じる。視線の先は、
「もしかして.....胸ですか?」
あ、目逸らした。
そりゃ、同級生の子達と比べたらちょっと大きい自覚はあるけど。
「.....もう!女の子には他に見るべきところがあると思いますわよ」
たしかにあんな数時間、しかも極限状況じゃ趣味や性格なんてわかるわけがないから、顔が気に入ったとか言ってくれるなら、まだしも
胸って!
いやでも、そうだよね、男の人だもんね、でもちょっといやかなり意外というか、
ああ、でも思い返せば、なんだか身体が密着してること多かったかも....。
...破廉恥。
「....まぁ、いいですわ。今は私の身体しか興味がないかもしれませんけど、これから性格とかたくさん、知ってくださればいいんですもの」
まぁ、いいか
向こうからすれば、出会ったばかりの女の子に求婚されたにもかかわらず了承してくれたんですもの。きっと、私のこと少しは気になってくださっているはず。
最初は少しでもいいじゃない、私のことを好きになってくれるのなら。
ふふん、と自分の頬に手を当てる。
「ね、ところで祝儀はいつがいい?在学中に結婚する子もいるけれど、私は、うーん、そうね、卒業まで待って欲しいかも。せめて、学期末までは。あ、でもコウタロウさんが明日にでもというなら、考えますわ!ああ、でも、その前にお互いの両親に許しを頂かないといけませんわね、今度貴方のご実家に」
この前食べてすごく美味しかった舶来品のお菓子持って行った方がいいかなぁ、なんて考えていたら、コウタロウさんが何か気づいたように突然立ち上がる。
「どうしたのコウタロウさん。あ..ごめんなさい、もしかしてうるさかった?」
「食事ニ」
それだけ、短く答えると彼はパンッと手を叩く。引き止める間もなくその姿は忽ち、煙のように消えた。
あぁ、行っちゃった。
「.....お夜食くらい、私が作ってあげるのに」
はぁ、寝ましょ。
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