後日談、敬具

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その怪異に関する記憶だけ、食い破られたように...そう、書こうとして、手が止まる。 食い破る、なぜ、私はこの記憶の不都合について、そう感じるのだろう。抜け落ちる、の方がわかりやすいのに。 奇妙なことは、それだけじゃなかった。 タカシさんを見た時、なぜ彼よりも先に毒を盛られた私が、こんなにも不調を感じていないのかということだった。 もとより身体は強い方だけれど、それでも成人男性が半身麻痺するような毒を喰らいながら、私は家にまで帰って来ている。 何故? それに、あの、肩に手が置かれる感覚。 既視感がある。 何かまだ、思い出していない?
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