クリニックでの悲劇

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

クリニックでの悲劇

そのクリニックは、閑静な住宅街にあった。 ドアを開けると、待合室で若い女性が二人ほど椅子に座っていた。 <女性専用だから、気兼ねがなくていいな>、そう思いつつ、クリニックの受付に行くと、 受付のおばさんから、すぐに検尿のコップを渡された。 「すぐにおしっこを、取ってくださいね。 取ったら、すぐに小窓から検査室に出してください」 受付のおばさんは手慣れたように、検尿コップに識別シールを貼った。 「トイレから出たら、問診票の記入をお願いしますね」 「はい」 コップを受け取り、指示されたトイレに入る。 結構・・狭い洋式トイレだ。 すぐ横に、スライド開閉の白色アクリル板の小窓がある。 ここに出すのね。 まずは、大き目のバックをトイレのドアフックにかけ、心の準備をする。 中腰になり、コップに、ちょろちょろと入るよう、位置を調整して採尿は完了した。 汚さずに取れたので、ホッとして、便座に座った。 悲劇はそこで始まった。 片手に検尿コップを持ちつつ、もう片方の手でトイレットペーパーをグルグル巻きとろうとした瞬間に、 その体の動きで検尿コップが傾き・・・・中身がこぼれて・・ こぼれて・・パンツに飛散(悲惨)いや、どばっと・・こぼれたのだっ!! ぎゃぅーーんん 心の中で、オオカミの遠吠えのような悲鳴をあげてしまった。 「これから、診察だよね。濡れているパンツで、医者の前にいくんだよね。 さぁーーー、どーする?どーする?」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!