あっけない診察

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あっけない診察

目の前の女医さんは、美人だった。 「そこに、お座りください。それで、どんな症状ですか?」 彼女は微笑み、すぐにパソコンモニターに目をやった。 私は、両ひざにきちんと手をあてて 「先週から、排尿時に痛みがでました。 それでドラッグストアで、膀胱炎に効くという薬を買って、 4日飲みました。 まだひどくはないですが、痛みと不快感は続いています」 私の話を聞きながら、女医さんは、パソコンにデータを打ち込んでいく。 「尿検査のデータをみると、膀胱炎の・・峠を越えた所ですね」 はぁう・・峠って・・あのワサビ痛の時がMAXだったのか。 女医さんは、私のほうに向くように姿勢を変えた。 「細菌を殺す薬を処方します。1週間飲んでください。 もし、症状があったらまた、来てくださいね」 そう言って、女医さんは私に微笑んだ。 「今日はこれでいいですよ」 ええ・・これでいいの? 聴診器当てるとか、血圧図るとか、患部を診るとかしなくていいの? とにかく、服を脱ぐこともなく、彼女は、私に指一本触れる事もなかった。 正味、5分もかからず診察は終わった。 はぁ、終わったぜ! 濡れたパンツを、人目にさらさなくてすんだぜ! 私の緊張感が、一気に抜けた。 「ありがとうございます」 頭を下げながら、 <膀胱炎って、不快感がでた段階で、すぐに医者にかかるべきだな>と、改めて思った。 会計をすませながら、次のパンツ問題の段取りを考えていた。 確か、駅前にデパートがあったな。 そこでパンツを買って、履き替えよう。
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