ジゼルのお客さん

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「明日の晩飯は西京漬け切り落としを焼く。味噌汁はわかめとねぎ」 献立が決まるが、冷蔵庫検索のアラートが響いた。 「野菜庫に、ネギがないっ!!」 眠気が飛んで、私はちょっと悩んだ。 17時のタイムセールに、西京漬け切り落としを買うのは決定事項だが、 長ネギを、生鮮野菜売り場で買うかどうか。 黒皮のトートバックに、長ネギをぶっさして満員電車に乗る・・・・ 長ネギを半分に曲げるか? いや、バックがネギ臭くなるのは困る。 長ネギ購入問題で頭を悩ましていると、衝立の向こうから声がした。 「あのぉ、鑑定お願いできますか?」 その女性は、笑顔というより静かな微笑みを浮かべていた。 私は一瞬、戸惑いを感じたが、すぐに仕事モードに切り替えた。 「ああ、大丈夫ですよ。どうぞ」 最初に、目に入ったのは、小さめの籐のかごバックだった。 可愛らしい白い造花がついている。 緩やかな栗色の縦ロールの髪が、肩より長めの所で揺れている。 髪を押さえながら、彼女は優雅な所作で武骨なパイプ椅子に座った。
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