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未来のカード
「彼には恋人がいる。
もしくは好きな相手とか、それがわかるということでしょう」
あなたが入るすきまは、ないはずなのだが。
カードを、じっと見つめている彼女の顔を見ながら、私も考えていた。
彼女は、相当に自信があるのだろう。
自分に関心を持たない男は、いないはずだと考えている。
そう・・
彼女が若かった時代は、その自信は正解だったはずだ。
10代後半から20代ならば、可愛らしい妖精のような容姿。
さぞかし、オトコにチヤホヤされただろう。
だが、今は・・私の目の前に座っている彼女は・・
ほうれい線はくっきりと筋を刻み、目じりのしわは目立つ。
頬は垂れ下がり、あごにも梅干ししわが目立つ。
明らかに顔は、年相応の婆さんだ。
若作りのジゼルの姿をした婆さん。
人は、年齢を重ねていくと、生活臭が体にまといつく。
私のように、ねぎをバックにぶっ刺して、
西京漬けの値段で、脳内会議が活性化されるようになる。
恥じらいとか、顔が赤くなるなんて事は、遠い昔の思い出になる。
しかし、目の前の老婆は、思春期の乙女のような服装も含め、
見事に生活臭がない。
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