01 安藤恭太

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 途中まで誉め殺しにきたのかと思えば、最後にしっかりと毒をまく学。  正直、大学生活で一度も恋人ができないなんて思ってもみなかった。まだ大学生活は終わっていないが、普通やる気さえあれば一回生や二回生で一度くらい彼女ができるものではないのか!? と学に詰め寄ったことがあるが、「甘い」の一言で片付けられた。「君が思うほど女子(おなご)の心は容易くないのだよ」と厳しめのご指導・ご鞭撻を頂戴したのだ。  かく言う学は現在恋人がいない。というか、彼は自分の恋愛に興味がないらしく、そもそも恋人を欲しいとも思っていないようだ。試しに一度、なぜ恋人がほしくないのか聞いたら、「わいは女子に罠を仕掛けられた」「わいが愛でるのは先人たちのありがたい言葉だけさ」とまた訳のわからないことをのたまう。ちなみに学ぶは自分のことを「わい」と呼ぶ。正直かなりイタい。某SNSに毒されている。 「それで、今度はどんな作戦でしょうか」 「ふふ、聞いて驚くが良い。次はなんと、わいの親友! のさらに親友の親友……であるところの女の子だ。女子大で服飾を学んでいるらしい。その子と引き合わせてあげるよ」 「ほう。ちなみに会ったことは?」 「ない」 「やろうな」
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