01 安藤恭太

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胸を張ってフフン、と鼻を鳴らす彼の、その自信満々な笑みを見ていると、なぜかいつも今度こそうまくいくという気がしてしまうから不思議だ。  実際、彼から紹介された女の子はこれで三人目になるが、これまでの二人もそこそこ可愛らしくていい子ではあった。僕がヘマをして取り逃がしてしまっただけで。 「親友の親友の親友……の話によると、その子は最近付き合っていた彼氏にフラれたばかりらしい。新しい恋をして上書きしたいと思っているそうだよ。きっと傷ついているだろうから、その傷を君が癒しにいく。颯爽と現れた超ハイスペックな君に彼女の心は揺らぐこと間違いなし!」 「……それ、気になる女の子を落とす時によく使う手法やと思うけど、そんな簡単にいくもん?」 「大丈夫だって。なんてったって、その子の元彼の顔が、君に似ているそうなんだ。わいも写真を見せてもらって確認したよ」 「おお……!」  元彼の顔が僕に似ているなんて、なんという偶然にして幸運なんだろう。  この時の僕は、顔がタイプ=すぐに恋に落ちるという単純な方程式が頭に浮かんでいた。あとで思い返してみると、まるで恋愛下手なのを思い知ってちょっと悲しくなった。 「その話、のった」 「承知つかまつる」  まったく、自分の単純思考に呆れざるを得ない。一体僕はどうやって複雑な統計学や経済学の授業を潜り抜けてきたんだろうか。しかしそれぐらい僕は恋に飢えていたし、なんとしてでも大学生のうちに恋人をつくってバラ色の大学生活を満喫したかった。  学の奴隷になっていることは否めないが、彼も僕のためにわざわざ恋人をつくる機会を与えてくれているのだから、悪い気はしない。もし今度の作戦がうまくいったら美味しい串カツでも奢ってやろう。 まあ、彼は面白がってるだけかもしれないけどね。
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