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道が、照らされている。
いつも通り学校へ向かおうとすると、反対側の道がなんだか眩しくて、振り返って見ると、そっちの道だけ不自然に光り輝いている。
これは一体どういうことだろう?
目をこすって探しても、どこにも光源は見当たらないのに、道は何かに照らされたように光っている。
ランドセルをぐっと体に寄せながら、恐る恐る、その道を踏んでみると、僕の足が触れたところだけ光が消えた。
やば、何かやっちゃった? と思い、家にいるお母さんを呼んできたら、
「何言ってんの、普通の道じゃない。寝ぼけてないで早く学校に行きなさい」とのこと。
ほう、ならばこれは超常現象だ。
超常現象ならば、光を消しても誰かに怒られることはないだろう。
意を決して、僕は光の道を進んだ。
光は、やはり、踏むと消える。どんどん行くと、別れ道になる。そこでも一方向だけが光っていて、進むべき道を示している。学校から遠のく不安を、好奇心で押さえつける。
そしてゴールにたどり着いた。
道の先にいたのは、衰弱した子猫だった。
運命を感じて家へと連れ帰った。学校に行ってないこともばれて、結局お母さんには怒られてしまったけれど、みるみる元気になっていく猫を見ていると、僕はやはり運命に導かれたのだと思う。
その日だけでは終わらず、何度も光る道に出会った。その先では、珍しい蝶を見つけたり、大好きな芸能人に出会えたり、演劇に飛び入り出演させられたり、困っている人を助けて、表彰されたりした。
光は道標になっていた。
最初は楽しかったけれど、毎日のように起こるイベントに、僕は胃もたれを感じるようになってきた。珍しいことでも、立て続けに起こればそれは普通のことになる。実際、光る道は不思議なことのはずなのに、僕は何とも思わなくなっていた。
中学生になったころから、僕は光る道を避けるようになった。面倒事は避けたいし、冒険なんて流行らないし。
光る道は、踏まない限り減らない。なのに新たに増えていくので、歩けない道がどんどん増えた。通学路も光るようになってしまい、家に籠もるようになった。学校は一度休んだら、なんとなく行きづらくなるものらしい。
中学の奴らとは気が合わないし、勉強なんか家でもできるし、これで良いのだと思う。お母さんは困っているけれど、家には猫のライがいる。僕はライがいれば幸せだった。
なのに今日、そんな僕の腕を擦り抜けて、ライは飛び出した。
「ライ!!」
一瞬で窓から出て行ってしまう。外でひどい目にあった猫だから、うちに来てからずっと家猫だ。外に出る理由なんてないはずなのに。猫は死ぬ前に姿を消す。そんな話を思い出しながら僕は必死で追いかける。ライが死んだら僕のせいだ。ちゃんと窓を閉めなかったから。
どこだ、どこに行った。辺りを見てもライの姿はなく、道はどこまでも光っている。
こんな時までビカビカ光るなよ!
そう叫ぶと、左手の道が、より一層強く光る。僕を煽っているのか!? と思うが、あまりの神々しさに、久しぶりに、超常現象という言葉を思い出す。
わけも分からず僕は駆け出した。
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