新たな事件

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新たな事件

 金曜日、又事件が起きた。今度は東京だった。 でも連続通り魔事件とは一線を隠していた。殺人事件だったからだ。 「えっ!?」 その報道を見てひっくり返った。 殺されたのがあの日俺に声を掛けてきた男性だったからだ。俺の体はワナワナと震え、心臓はバクバクし始めた。 自分で自分が押さえられなくなっていた。 その時電話が鳴った。 その衝撃にビクッとなる。俺は悲鳴を上げる身体を騙しながら固定電話に近付いた。 「テレビ見たか?」 石井だった。きっと俺のことを心配して電話をくれたのだろう。 「いやはや驚いた。震えが止まらない」 俺は歯をガチガチとさせたままで答えていた。 「俺もだ。まさかこんなことになろうとは」 石井は軽く咳払いをしてから私語くように言った。 「ごめん、まだ何も調べてない」 俺は素直に誤った。 「そのことだけど、仕事は此処までってことにしてくれないか?」 それは突然のキャンセル依頼だった。 「もしかしたら俺達が調べ始めたから殺される羽目になったのかも知れないだろ? もし磐城に飛び火でもしたら、と思うと……」 石井は泣いていた。 その言葉に俺は遣る、とは言えなくなった。 「解った。そうする。でも一つだけ聞かせてほしい。結局連続した事件だったのか?」 その質問に答えはなかった。関係者以外には言えないことだと思い、電話を終了した。  それでも俺は動き出した。 とりあえず知り得た事実を箇条書きにしてみることにした。 ①最初は埼玉。ナイフが使われた。 ②東京の事件現場では自転車が奪われた。 ③三度目の埼玉の事件現場ではその自転車が使われた可能性がある。 ④東京の事件は殺人。 事件は四回、だけど連続通り魔事件と言い切れない。 被害者は容疑者だと思われた男。 何故犯人ではないかと疑ったのか? ①事件のことを良く知っていた。 ②石井を警視庁の刑事だと言い当てた。 ③俺を現役の刑事だと思い込み近付いてきた。 ④石井もそう思ったから。 では何故殺された? 結局、その人は犯人ではなかったのか? そのことで俺の勘も大したことがないと知らされた。とりあえず犯人呼ばわりしなくて良かったのではないなかと結論した。
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