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そんなある時、ローザは風邪をひいて寝込んでしまった。
町のみんなが彼女のことを心配し、代わる代わる看病に来てくれた。
「早く良くなってね。」
「さぁ、これを食べて栄養をつけとくれ。」
皆の手厚い看病のおかげで、一週間もするとローザの風邪はすっかり治った。
しかし、彼女の声はひび割れたような酷いかすれ声になってしまっていたのだ。
もちろん、歌を歌っても、以前とはまるで違う。
耳障りな騒音のように響くのだ。
ローザの周りから人が消えた。
彼女と会うと、皆、作り笑顔を浮かべ、こそこそと足早にその場を立ち去ってしまう。
(私の声がこんなガラガラ声だから…
以前のような歌を歌えないから、私にはもう用がないのね…)
溢れそうになる涙を賢明に堪え、ローザは家路に着いた。
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