至福の最期

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至福の最期

苦悶の表情を浮かべながらも男の表情は どこか清々しい。 「そうか…そうだったのか…いいよ、仁美… 俺の血でいいなら好きなだけ…」 「え…」 思わず噛みついた首筋から口を離し 男を見つめる仁美。 「仁美になら…俺はいいから、さあ…」 「うっ…ごめん、ごめんね…麻利央さん」 そう言うと仁美は男と唇を重ねた、 そしてその唇からは 止めどなく血が流れ落ちてゆく。 至福の表情を浮かべたまま男は静かに息絶えた。 「ごめんね…こんな愛し方しか出来なくて」 真っ白なナース服を深紅に染め上げた仁美は 静かに部屋を後にした。 騒ぎを聞いてかけつけた警察が その部屋で見たものは… ミイラのように干からびた1人の男が 笑顔で虚空を見つめている、 この世のものとは思えない光景だった。 聞けばその病院には“◯◯ 仁美”と言う名の ナースは在籍していなかったと言う。 愛する男の血を求めて夜な夜な現れるナース仁美… 次に彼女が現れるのはあなたが通院している その病院かも知れない。
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