9人が本棚に入れています
本棚に追加
「カァ!」
鶴の一声ならぬ、カラスの一声と共に、奴は待ち合わせ場所に向かう俺の頭を踏みつけたかと思えば、そのままカツラを咥えて飛び去ったのだ。
そんな漫画みたいな出来事あるだろうか?誰もがそう思うだろう。俺もそう思う。
でも、あったのだ。実際に。
「待て、待ってくれ……」
それから必死に、カツラを咥え飛び去るカラスを追いかけた。
ひとつ幸いだったのは、カラスがずーっと一直線に飛んでいることだ。おかげで見失わずに済んだ。
もしかすると、あれか。巣があるのか。
この先に、奴の巣があるのかもしれない。そこにふさふさな俺のカツラを置く気なのかもしれない。
そう考えると、ヤケにしっくりきた。
最初のコメントを投稿しよう!