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「えっ……」
先に待ち合わせ場所に到着していた遥さんは、俺を見るなり目を丸くし、言葉を失っていた。‟絶句する人間”というものを、初めて目の当たりにしたかもしれない。
「嘘をついていて、すみませんでした!これが本当の俺です!でも、遥さんのことをもっと知りたい気持ちに嘘はありません。俺と付き合ってください!」
会うなり、俺は頭を下げ彼女に想いを伝えた。
あぁ、でもこの角度……頭頂部がハッキリと彼女に見えてしまう。わざわざ頭を下げなくても良かったかもしれない。
まぁでも、今さらそんな虚栄は皆無だ。この恋は、もうこれで終わる。
「あ、あの……、ちょっと待っててください!」
そう言うと、彼女は慌てて近くにあった百貨店の中へと消えていった。
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