理想の先

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本格的にヤバイと思ったのは、20歳を過ぎた時。 風呂場で洗髪をした後、排水溝に溜まった大量の髪の毛を見てギョッとした。 それからは、市販の育毛剤に金をつぎ込む日々が始まった。しかしどれも効果はなく、次に手を出したのはネットで流行っていた頭皮マッサージ器具や飲み薬。 まだ若いし、少し手を加えれば大丈夫だろうと、この時はまだ変な過信があったのだ。 だけどその期待はことごとく裏切られていった。 前髪は変わりないのに、頭頂部だけがみるみるうちに薄くなっていったのだ。鏡でみた自分の頭は、まるでブラックホールのように思えた。
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