理想の先

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そのことが、俺の自尊心をものすごく傷つけた。 「いいな」と思う子がいても、‟ハゲの俺が食事に誘うと、気持ち悪がられるのではないか” ‟ハゲの俺と一緒に歩くと、恥ずかしい思いをさせるかも”なんて、ありとあらゆる妄想を繰り広げるようになってしまったのだ。 もちろん、半分被害妄想であることは分かっている。だけど見た目に関してのコンプレックスを補うには、精神面を強くするだけでは物足りない気がするのだ。 そこで俺が頼った最終アイテムは、‟オーダーメイドの部分カツラ”だった。 薄型軽量タイプで蒸れ防止。カツラ用両面テープで簡単装着。なによりオーダーメイドだから自然にピッタリな仕上がり! これだ、これしかない。 ネットの広告を見て、俺はすぐに飛びついた。
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