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「待てー!!」
雲ひとつない青空の下、無我夢中で追いかける。
青天の霹靂とはまさにこのことか。
開いた口から、生ぬるい空気が入り込み喉に張り付く。汗ばんだ背中からは体温の上昇を感じ、擦りきれたかかとからは血が出ていた。
もういやだ。もう走りたくない。
今すぐにでも冷えた水をがぶ飲みしたい。
心ではそう叫んでいても、足を止めるわけにはいかない。
なんとしてでも追いかけなければならないのだ。
俺のカツラを奪って飛び去った、あのカラスを。
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